Tag: コンプライアンス 内部統制 株主代表訴訟

概要

 2000年7月に運輸省が三菱自動車本社などに立ち入り検査に入り、クレーム隠しやリコール相当の欠陥を届出をせずに修理を行っていたことが判明。さらに、2000年の検査時にも公表すべき内容を隠ぺいしていたことが2004年に発覚した。

発覚の経緯

 2000年6月中旬、運輸省自動車交通局のユーザー業務室に匿名の内部告発がなされたことをきっかけに、2000年7月に運輸省が立ち入り検査をして問題が発覚。その後、2004年6月、国土交通省からの欠陥リークを受け、2000年の検査時に公表していなかった欠陥について、追加でリコールを発表するに至った。

企業への影響

 2000年の事件では、同社が道路運送車両法(改善措置の届出義務)違反に問われ、400万円の過料を支払ったほか、道路運送車両法(虚偽報告)容疑でも同社と同社の副社長が刑事告発された。これらの責任を取り、社長が辞任。このときの信用低下による損害とその回復費用として、少なくとも115億円の損害が生じた。  さらに、2004年の事件でも、国土交通省は道路運送車両法(虚偽報告)容疑で同社を刑事告発。信用低下による販売台数の減少などで、2004年度は、1,285億円の経常損失となった。

経営陣の責任(民事事件)

 2000年の事件に対して、2001年3月、株主が担当取締役・代表取締役に対して、監督・監視義務違反、違法行為防止のためのシステム構築義務違反の責任を追及する株主代表訴訟を提起。2003年12月に和解が成立。その際に支払われた1億6000万円の和解金は、「コンプライアンス基金」として、ヘルプラインの設置、法令遵守体制の構築・研修のために使用されることになった。

 また、2005年7月、同社が元役員7人に対し、総額11億3500万円の損害賠償を請求する訴訟を提起した。

経営陣の責任(刑事事件)

 2004年の事件に関連し、リコールを避けるために国にうその報告をしたとして、元役員3名と法人としての三菱ふそうトラック・バス(三菱自動車から分社)が道路運送車両法違反(虚偽報告)罪に問われたが、2006年12月、横浜簡易裁判所は「国土交通大臣の報告要求が存在したとは認められない」として、無罪判決を下した。


Last-modified: 2020-02-25 (火) 02:02:16