コラム「有用な『内部統制』を実現するために」
2007年12月27日 公開
弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦
第12回 監査役を生かすための制度 (4)
~外部アドバイザーとの連携
前回まで、主に監査役を生かすための「制度」についてご説明してまいりましたが、実際に監査役としての役割を担うのは、当然のことながら生身の人間です。ですから、いくら「制度」が充実していても、実際に監査役になる者に、その自覚と能力がなければ、せっかくの制度は宝の持ち腐れということになります。
すこし前に、船場吉兆による食品の不正表示が話題になりましたが、同族会社の場合、創業者一族の発言権が強く、親族や従業員が監査役になっても、実効性ある監査、取締役のブレーキ役にはなりきれないことが一般的なようです。
しかし、今までご説明してきたように、取締役に苦言を呈すことができない監査役には、監査役の存在意義がありません。
そこで、取締役からより独立した立場から監査を行い、監査の実を挙げる制度として社外監査役があります。
社外監査役とは、過去にその会社または子会社の取締役・会計参与・執行役または支配人その他の使用人となったことがない監査役をいいます。監査役会設置会社では半数以上が社外監査役でなければなりません。
重要なことは、どのような方を社外監査役にするか、です。取引先の役員を社外監査役にすることも実際には多いようですが、当該会社と深い取引関係や利害関係がある場合には、逆に実効的な監査を期待できません。むしろ、職業倫理に裏付けされた社会的責任を自覚している、公認会計士や税理士、弁護士等の専門家が適切です。
また、内部統制の充実のために外部を利用する方法としては、社外監査役の他に、いわゆる内部統制コンサルタントを活用することも有用です。
「内部統制」の構築は従来からの社内システムの改善、整備にすぎないともいえますが、代表取締役や取締役会による不適切な行為を実効的に監視するための体制の整備ですから、外部からの視点は非常に有効です。外部の第三者的立場からの意見との協同作業は社内のみで構築する場合に比べ、より効果的でしょう。
もちろん、社内の人間が主体的に参加して初めて実効的な制度となりますから、他社と同じようなマニュアルを鵜呑みにするのではなく、全社員一丸となって内部統制の「目的」である、それぞれの会社の経営理念を共有し、その実現に向けた弛まぬ努力によりシステムを改革し続けることこそが、「実効性ある内部統制」の一番の近道です。
