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コラム「有用な『内部統制』を実現するために」

2007年8月17日 公開

弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦

第11回 監査役を生かすための制度(3)
監査役への報告制度について

 前回まで、監査役の活動をサポートする監査役補助者を充実させることについてご説明いたしましたが、いかに優秀な補助者を設置しても、法令や定款に違反する行為の存在またはその疑いに気づかなければ、活動するきっかけがありません。そこで、今回は、監査役が違反行為を発見する端緒を充実させるための制度についてご説明いたします。

 監査役は、いつでも、取締役・会計参与・支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、また、みずから会社の業務及び財産の状況の調査をすることができ、必要があれば、子会社に対しても事業の報告を求め、その業務及び財産の状況の調査をすることができます。
 しかし、監査役において報告を受ける必要性、調査を実施する必要性を感じ取ることができなければ、せっかくの権限は絵に描いた餅になってしまいます。
 もちろん、監査役には、取締役会への出席義務がございますので、出席した取締役会の報告事項や決議事項の中に、さらに報告を受ける必要や調査を実施する必要を感じることもあるかもしれません。しかし、取締役会への出席だけでは監査役が違法行為を発見する端緒として不十分なことは、いままで監査役が十分に機能せず、企業において不祥事が多発したことからも明らかです。
 そこで、重要なのは、監査役への新たな報告制度、個々の取締役が他の取締役の目を気にせずに報告できる制度、個々の従業員が他の従業員や取締役の目を気にせずに報告できる制度の創設です。これはまさに内部通報制度と軌を一にします。

 誰しも自分が勤めている会社は良くなってほしいと願っているものですが、社内での自分の立場、他の従業員や取締役からの評価、通報後の実行可能性などを勘案し、通報を躊躇していることが多いのではないでしょうか。
 通報による不利益扱いが明確に禁止され、通報の匿名性が保たれ、通報先の機関の問題解決能力に期待が持てれば、会社を良くしたいという思いからの通報は必ず増えると思います。
 ここで一つ難しいのは、通報の匿名性であり、通報の手段として電話や通常の電子メールでは、容易に通報者を特定できてしまうため、匿名性を保つことができません。解決策としては、例えば、社外の第三者を通報窓口に指定し、当該第三者において通報者を特定できる情報をそぎ落とした上で監査役に連絡するような制度を採用することも一つの方法でしょう。
 違法行為の調査活動が実効的なものになるかは、多分に違法行為発見の端緒が充実しているかに左右されますので、監査役を生かすために内部通報制度を充実させることは非常に重要な視点であると思います。

執筆者プロフィール

今尾元彦 近影

氏名
今尾 元彦 (Motohiko IMAO)
所属
弘希総合法律事務所
略歴
平成12年、弁護士登録。
大阪で活動後、平成18年9月、京都に弘希総合法律事務所を共同で設立。
取扱分野
企業法務、労務関係、公益通報者保護法、中国ビジネス支援


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