エンブリッジは企業の成長をサポートする経営戦略パートナーです



現在の階層


コラム「有用な『内部統制』を実現するために」

2007年7月11日 公開

弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦

第10回 監査役を生かすための制度(2)
監査役補助者の取締役からの独立

 前回は、「監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項」についてご説明いたしましたが、この監査役補助者は、設置すればそれで足りるというものではありません。
 当然のことながら、設置した監査役補助者が有効に機能しなければ、設置した意義が没却されてしまいます。
 しかし、一従業員を監査役補助者に選任しただけでは、取締役会や上司による人事権に怯えたり、または、取締役会や上司が監査役の指揮命令と異なる指揮命令を発したり、他の部署が監査に協力的でなかったりして、監査が不十分になってしまうおそれは多分に存在します。

 そこで、監査役の独立性にとどまらず、監査役補助者の取締役からの独立性についても十分に配慮する必要があることになります。
 具体的には、監査結果や監査手続の内容、監査意見の内容によって当該監査役補助者が会社内において不利益な取扱いを受けることがないよう企業として宣言し、かつ、運用することは最低限必要でしょう。
 また、監査役補助者の人事権を監査役に委ねることができれば監査役補助者の独立性はかなり高まるでしょうし、それが難しければ、少なくとも監査役補助者の人事に監査役の意見をできる限り反映させることで監査役補助者の独立性を高める工夫が必要となるでしょう。
 例えば、監査役補助者の評価は取締役会ではなく監査役会で行うこととし、監査役補助者の選任、解任、異動その他の処遇の決定等の人事権は取締役会に残しつつも、当該事項について監査役会に同意権を与えるなどは、一つの方法であると思います。

 さらに、監査役補助者が、取締役や業務執行責任者に指揮命令を受ける立場ではなく、専ら監査役の指揮命令のみに服する体制が取れるのであれば、より監査役補助者の独立性は高まるでしょう。
 その他には、監査役補助者の権限、とくに他の部署にどこまでの協力義務を負わせるか等をあらかじめ具体的に明記しておけば、監査役補助者が他の部署から独立して監査を円滑に行うことが一段と可能になるでしょう。

 自分が監査役補助者になった場合、何を一番気にするか、どのような体制であれば気後れせずに業務に打ち込めるかを考えていただければ、監査役補助者の独立性の重要さがお分かりいただけるものと思います。

 次回は、監査役への報告体制の整備についてご説明いたします。

執筆者プロフィール

今尾元彦 近影

氏名
今尾 元彦 (Motohiko IMAO)
所属
弘希総合法律事務所
略歴
平成12年、弁護士登録。
大阪で活動後、平成18年9月、京都に弘希総合法律事務所を共同で設立。
取扱分野
企業法務、労務関係、公益通報者保護法、中国ビジネス支援


ナビゲーション