コラム「有用な『内部統制』を実現するために」
2007年6月19日 公開
弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦
第9回 監査役を生かすための制度(1)
監査役って必要?~内部統制における監査役の役割~
前回まで監査役の有無にかかわらず有用な体制についてご説明してまいりましたが、今回から、監査役を設置している会社において監査役を生かすための体制についてご説明いたします。
監査役は、まさに取締役の職務の執行を監査するための機関ですから、取締役や使用人の職務がコンプライアンスに適合しているかを常に監視し、ひとたびコンプライアンスに反する事態が発生したときはリスクを最小限に抑えるために迅速に行動するとともに、常日頃からリスクを洗い出す等のリスク管理を徹底することで企業の持続的成長及び信用維持に貢献する内部統制の重要な担い手であり、本来、内部統制の構築において中心的な役割を果たすことが求められる機関です。
しかし、従来、監査役の上記重要な役割に着目していた会社は残念ながら多くはなく、大多数の会社においては代表取締役や取締役会の決定にお墨付きを与えるだけのいわば「物言わぬ監査役」が重宝されてきました。
会社法は、監査役の上記重要な役割をもう一度見直し、日本において監査役制度がうまく機能してこなかった現状を踏まえ、監査役や監査役会の権限を強化し、監査役が内部統制の中心的な役割を実質的に担えるような体制づくりを指向しています。
それでは監査役が充実した監査をするためには、どのような体制が必要でしょうか。
まず、監査役にいくら強大な権限を与えても、個人1人の能力には限界があり、会社の業務全般にわたって目を光らせるためには、監査役をサポートするスタッフを充実させる必要があります。
したがいまして、内部統制には、「監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項」についても定めておくべきでしょう。
監査役の補助者が1人で足りるのか10人必要なのかについては、会社の規模・業種や監査対象の内容や範囲によるとは思いますが、日常監査業務に必要な人員と緊急時の調査に必要な人員とは自ずと異なることから、いつでも柔軟な対応ができるような体制を構築しておくことが望ましいでしょう。
重要なのは、1人の監査役が、より詳しい監査が必要であると判断したときに、人的資源の不足から調査をあきらめるのではなく、迅速に人員を確保し、充実した監査が実行できる体制がとられているかにあります。
次回も今回に引き続き、監査役を生かすための体制についてご説明いたします。
