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コラム「有用な『内部統制』を実現するために」

2007年4月25日 公開

弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦

第8回 全ての会社に求められる制度づくり(6)
グループ会社間の内部統制

 今回は、監査役の有無にかかわらず有用な体制の最後として、「当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保する体制」についてご説明いたします。

企業集団における業務の適正を確保する体制

 会社法は主に個々の株式会社を対象にしていますが、実際の企業は、複数の会社からなる企業グループ、親子会社などの経済実体を形成しており、企業グループ単位で経済活動を行うことが少なくありません。
 最近も、株式会社加ト吉が、その連結子会社である加ト吉水産株式会社やグループ会社を巻き込み、6年間に数百億円にのぼる循環取引を行っていた疑いがあるとの報道がございました。
 このような企業グループ単位の違法行為を未然に防ぐとともに、グループ会社間相互によるチェック機能を有効に活用するため、内部統制を個々の会社に止まらず、企業グループ全体に横断的に構築することは、極めて有用であると思われます。

(1) グループ全体における内部通報制度の設置
 企業グループ内の1つの会社の不祥事は、企業グループ全体の信用に傷をつけます。
 1つの会社の社内では是正できなかったリスクを、それが深刻化する前に、企業グループ全体による自浄能力により回避または減少させるシステムの構築は、言うまでもなく、企業グループ全体の経済活動に資することでしょう。また、通報者側からしても、同じ社内の人間からは言い出しにくい事柄が、会社が異なれば比較的通報しやすい場合も往々にしてあるものと思われます。
 したがって、内部通報制度を企業グループ全体に横断的に設置することは、内部通報制度の活性化を促します。
(2) 親会社の担当部署と子会社との指揮命令関係の整備
 親会社における各子会社の担当部署を明確にすることはもとより、親会社から子会社の取締役や監査役を派遣して子会社の業務執行を監視、監督する方法も考えられます。
 また、親会社監査役による子会社調査権や、親会社株主による書類閲覧権を実施するための具体的な規定の整備も有用でしょう。

 今回で、6回にわたってご説明してきました「監査役の有無にかかわらず有用な体制」のご説明を終え、次回は、監査役を設置している会社において、その監査役の職務をより充実させることにより内部統制を実質的なものにする方策についてご説明いたします。

執筆者プロフィール

今尾元彦 近影

氏名
今尾 元彦 (Motohiko IMAO)
所属
弘希総合法律事務所
略歴
平成12年、弁護士登録。
大阪で活動後、平成18年9月、京都に弘希総合法律事務所を共同で設立。
取扱分野
企業法務、労務関係、公益通報者保護法、中国ビジネス支援


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