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コラム「有用な『内部統制』を実現するために」

2007年2月19日 公開

弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦

第5回 全ての会社に求められる制度づくり(3)
情報管理体制について

 前回まで、監査役の有無にかかわらず有用な体制のうち、「取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」についてご説明してまいりました。
 今回は、前回までご説明した、コンプライアンス委員会や内部通報制度が、より実効的に運用されるための、「取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制」についてご説明いたします。

取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制

 内部通報等を契機としてコンプライアンス委員会や監査役が調査を行うことになったとしても、その調査の対象である「取締役の職務の執行に係る情報」が保存されていなかったり、整理されていなかったりした場合には、実効的な調査を行うことが困難になってしまいますから、この「取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制」も、実効的な内部統制にとっては不可欠な体制といえます。
 文書や情報の管理につきましては、平成13年2月、三菱自動車工業が運輸省の立入検査に備えて時間稼ぎや書類隠しの模擬訓練を行っていたことが報道され、信用失墜に拍車をかける重大な事態を招きました。このような企業風土を醸成させない、情報の保存及び管理に関する体制が求められます。

(1) 文書・情報管理規程の作成
 法令や定款に違反する行為を行った者が、当該行為に関する文書や情報を保存しなかったり、廃棄したりしたとしても、あるべき文書や情報が存在していないことを後から追及できるよう、どのような文書や情報を保存するかを、明確に定めておく必要があります。
 また、いざというときに、他の取締役や監査役、コンプライアンス委員会等がスピーディーに文書や情報を閲覧できるようシステムを整備しておくことが望ましいでしょう。
 さらに、あとから隠したり、書き替えたりすることができないようにしておく必要があることは言うまでもありません。
(2) 文書・情報管理責任者の指定
 前述のとおり、他の取締役の指示に抵抗することができず、保存すべき文書や情報を保存しなかったり、あろうことか廃棄してしまったり、書き替えに応じてしまうような者では、文書・情報管理責任者たり得ませんので、管理責任者は、社長直轄くらいの独立した地位が確保される必要があります。

 次回は、「損失の危険の管理に関する規程その他の体制」についてご説明いたします。

執筆者プロフィール

今尾元彦 近影

氏名
今尾 元彦 (Motohiko IMAO)
所属
弘希総合法律事務所
略歴
平成12年、弁護士登録。
大阪で活動後、平成18年9月、京都に弘希総合法律事務所を共同で設立。
取扱分野
企業法務、労務関係、公益通報者保護法、中国ビジネス支援


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