コラム「有用な『内部統制』を実現するために」
2007年1月16日 公開
弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦
第4回 全ての会社に求められる制度づくり(2)
通報しやすい環境を整える~内部通報制度~
前回「内部統制」システムの具体的な内容のご説明に入り、ルールを決めて(企業行動規範の制定)、そのルールを実施する専門部署を設置する(コンプライアンス委員会の設置)ところまで、ご説明いたしました。
しかし、ルールさえ決めれば、従業員全員がすぐにそのルールを守るようになるわけではありません。ときにルールに違反してしまう従業員が出てきてしまうこともあるでしょう。
会社が従業員のルール違反に気づかなかったために結果的に放置してしまえば、せっかく決めたルールも、会社の信用も、台なしになってしまいます。
そこで、今回は、会社として、従業員のルール違反を早期に把握し、これに対処することで、発生する損失を未然に防止し又は最小限に抑え、かつ、より適切なルール作りへのフィードバックにも資する、「内部通報制度」についてご説明いたします。
実効的な内部通報制度の設置
平成18年4月に公益通報者保護法が施行されたことにともない、通報窓口を設置した会社は多いと思いますが、とりあえず設置しただけで、あまり利用されていないことも多いようです。
当然のことながら、あまり利用されていないことは、従業員のルール違反が少ないことを示しているわけでは必ずしもなく、むしろ従業員にとって利用しにくいシステムになっているのではないかを疑うべきでしょう。
従業員が内部通報を躊躇する理由の一つに、通報がすぐに上司や同僚に知られてしまうのではないかという危惧が挙げられます。上司や同僚の違反をトップに通報しても、自分が通報したことが、すぐにその上司や同僚の耳に入るのであれば、社内での自分の立場が不利になることをおそれて通報を躊躇するのはある意味当然でしょう。
通報の手段を、電話や普通の電子メールといった通報者が容易に特定できる方法しか設けていない会社も多いようですが、通報しようとする従業員への配慮に欠けていると言わざるをえません。
通報者の匿名性を確保する方法にはWEBを活用する等いろいろな方法があるかと思いますが、いずれにいたしましても、通報者が躊躇することなく通報できる制度を導入し、内部通報を活性化させることが、「内部統制」の実質化につながることは間違いないと思います。もちろん、不二家のように、事態を把握した後の対応が不適切では元も子もないのですが…。
次回は、監査役の有無にかかわらず有用な、その他の体制について見ていきたいと思います。
