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コラム「有用な『内部統制』を実現するために」

2006年11月16日 公開

弘希総合法律事務所 弁護士 今尾 元彦

第1回 「内部統制」はなぜ必要なのか?

はじめに

 平成18年5月の新会社法施行に伴い、「内部統制」という言葉をよく耳にするようになりましたが、実際に「内部統制」の具体的イメージをお持ちの方はまだまだ少ないようです。

 いわゆる大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)は、会社法上、「内部統制」を整備する義務が課されましたので、すでに「内部統制」を導入されているものと思われますが、取り急ぎ形式だけ整えたにとどまっている会社も実際は多いようです。
 また、中小の会社に至りましては、「内部統制」は大会社だけの問題で、中小の会社には関係ないという認識の会社も多いようです。

 しかし、「内部統制」は、いわゆるコンプライアンス体制やリスクマネジメント体制などを通じて、会社をより適正に、より効率的に機能させるためのシステムですから、形式を整えただけで実質的な運用がなされなければ、そのメリットは半分も享受することができず、逆に効果的な運用がなされれば、大会社だけでなく、中小の会社にとっても有用な制度であるといえます。

 そこで、これからの会社にとって重要な課題の一つである「内部統制」について、今回から3回にわたり、これを実質的に運用するための方策等についてご説明していきたいと思います。

内部統制の必要性について

 「内部統制」を整備しなければならない理由は、会社法で義務化されたからだけではありません。「内部統制」の不備が、取締役ら役員に損害賠償責任を負わせることもあります。

 例えば、数年前に大きく新聞報道もされましたが、ダスキンは、ミスタードーナツの肉まんに無認可添加物が入っていたことを取引先から指摘された後も隠蔽し続けていたことが発覚したために、社長、専務らが引責辞任し、取締役・監査役11名に対し約5億6000万円の損害賠償を命じる判決が下され、会社自体と担当専務、担当取締役が刑事事件で書類送検されるまでの事態に発展してしまいました。
 企業体質の問題もありますが、本件は、実効的な「内部統制」が確立され、監査役が独立した地位から適切なブレーキをかけることができていれば、ここまで損害が拡大することはなかった事例として、非常に重要な教訓を含んでいます。

 次回は、形式だけの「内部統制」が適切に機能しなかった事例をご紹介いたします。

執筆者プロフィール

今尾元彦 近影

氏名
今尾 元彦 (Motohiko IMAO)
所属
弘希総合法律事務所
略歴
平成12年、弁護士登録。
大阪で活動後、平成18年9月、京都に弘希総合法律事務所を共同で設立。
取扱分野
企業法務、労務関係、公益通報者保護法、中国ビジネス支援


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