カフェのメニューに文庫本 ~本の販促を考える~
[金澤 貴司]
特製カバーを付けた文庫本が、お皿に載って運ばれてくる。
そんな素敵なカフェがあったら如何でしょう?
東京・南青山にあるスパイラルカフェが4月に始めた「文庫本セット」は、
文庫本1冊とドリンク1杯で1350円で販売しています。
夕方5時以降の限定メニューではあるけれど、若い女性を中心にほぼ毎日注文が入るとの事。
「ふらりと立ち寄ったカフェのメニュー表に本が並んでいたら面白い」と思ったのがキッカケで、
コンセプトは“偶然の出合い”だそうです。
面白いですね。
本好きにはたまらない仕掛けだと思います。
食後のデザートを頼むようにメニューから本を選べたら新鮮ですよね!
出版科学研究所によると、昨年の出版物の販売金額は前年比3・2%減の2兆177億円で、
4年連続の前年割れの状態が続いています。
こういった出版不況が叫ばれる中で、またネットにて本の購入が主流になりつつある今、
書店以外のリアル店舗で本を売ろうとする試みは面白いと思います。
ケータイ小説が社会現象にまでなり、書籍売上ランキングの上位を軒並みケータイ小説が
占めていたのは記憶に新しい出来事。
成功の要因は色々あると思いますが、先ず言える事として、ケータイ小説のメイン読者層は
10代の女子中高生で、彼女たちが以前から熱心な読者であった訳ではないでしょう。
むしろ、読まない人が多かったと思います。
でも、売れた。
自分と同じ境遇の恋愛話が絶大な共感を得たから?
それもあるでしょう。
でも、それはいわゆる”商品性”の問題です。
注目すべきは、 「なぜ、それがケータイ小説で売れたのか?」だと思います。
つまり、普段書店に行かない子たちが買った事にヒットの要因があり、
彼女たちの最も身近なケータイで商品に「出会う機会」があったからこそ爆発的なヒットになったのではないでしょうか。
あれがケータイ小説ではなく従来の書籍であったらどうであったか。
おそらく、あそこまでのヒットにはならなかったと思います。
ケータイ小説が、自然に彼女たちの生活の中に入り込む事が出来たからこそであったと考えます。
一番の課題は、普段本を読まないターゲットに如何にリーチするか。
そう考えると、スパイラルカフェのコンセプトである“偶然の出合い”という演出は出版不況を打破するヒントがあるような気がしますね。