リクルート Vol.68 -【新卒採用27】-
[斎藤 裕子]
内需型、新卒採用下支え 10年春 輸出企業は大幅抑制
世界的な景気低迷により、輸出依存度の高い外需型産業で、2010年春の新卒採用を大幅に抑制する動きが強まっている。一方、流通・食品や情報通信などは底堅さを見せ、運輸や電力では採用拡大の動きも顕在化。内需型産業が新卒市場を下支えする。今年の就職戦線はさながら内“優”外患の様相だ。
自動車や電機メーカーは、抑制が相次ぐ。ホンダは890人と4年ぶりに1000人の大台を下回り、今年4月入社で590人を採用した日産自動車も、数十人規模と大幅に絞り込む。採用計画を策定中のトヨタ自動車も、「減らす方向で調整」(幹部)しており、5年ぶりに3000人を割り込む可能性も出ている。
電機・機械も同様で、キヤノンが4割削減する計画を打ち出したほか、経営難のパイオニアや半導体大手のNECエレクトロニクスが定期採用を見送るなど、固定費削減のあおりは、新卒採用にも及び始めている。
これに対し、電力や鉄道など国外の景気低迷の影響を受けにくいインフラ業種では、採用拡大の動きも目立つ。東京電力は原子力関連の技術者を中心に、採用を約4割増やし11年ぶりに1000人の大台を超える採用計画をまとめたほか、電力他社も軒並み高水準の採用を維持する。
中央リニア新幹線の建設計画を進めるJR東海は、技術系を中心に「前倒す」として、過去最多の1030人を採用する。JR東日本、西日本とも団塊世代の大量退職に対応し、採用規模を維持。外食では、日本マクドナルドが好調な業績を受けて、今春より約13%増やすほか、300人以上の中途採用も行うなど、景気低迷下でも採用拡大に乗り出す企業も少なくない。
このほか、情報通信や流通、食品など内需型産業では、今春とほぼ同水準かやや増の傾向が強い。情報通信では「年齢構成をフラット化する」(KDDI・小野寺正会長兼社長)「技術や営業戦略を継承するため」(NTTドコモ・山田隆持社長)と堅調な業績を背景に、組織強化に向けた動きが目立つ。
もともと採用人員の多い銀行・生保業界もバブル後の採用抑制による中堅社員不足、という人員構成のゆがみが問題となったことから、一定の採用水準を維持する考え。製造業でも鉄鋼では「中長期を見据え、必要な人材を確保したい」(JFEグループ)と将来に向けた人材確保に努めている。
雇用問題が深刻化し、日本経団連雇用委員会の鈴木正一郎委員長(王子製紙会長)が「失業率は過去最悪の5.5%を超える恐れもある」と懸念する中、内需型産業の下支えが新卒採用の受け皿となりそうだ。
『 FujiSankei Business i. 』
---もともと採用人員の多い銀行・生保業界もバブル後の採用抑制による中堅社員不足、という人員構成のゆがみが問題となったことを踏まえても、今後更なる問題がでてくるのか?予期せぬことばかりですね。