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エンブリッジ・プロジェクトマネジャーブログ

記憶の味
[金澤 貴司]

親しかった人が、遠のいていく。


幼少の頃の友人。
学生時代の友人。
一緒に働いた同僚。


あの頃、いつも一緒に居た友人が、ふと気が付けば最後に会った日も思い出せない。


そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。


僕は社会人になって三年目です。

大学生だった友人も、フリーターだった友人も、今ではみんな立派に働いています。

お互い忙しく、会う事も、電話で話す事さえ少なくなりました。


友人と会っていない。

働き始めてからはそんな事を考える事自体がほとんどなくなりました。


先日、仲の良かった友人から携帯電話に久しぶりにメールが来ました。

長い空白期間はメールで埋まるものではない。
そう思っていました。

メールのやり取りをしている時、高校時代に僕がカナダから買って来たお土産の話が出ました。

それは、およそ人間が食べるに相応しくない色をしたグミでした。

奇妙な形をした科学着色料を大量に浴びたグミです。

日本に無いものをと思い、探した結果がそれだったのです。
(おそらく、いくらかのイタズラ心もあったと思います)

彼いわく、色、形、味のどれもが日本離れしていたそうです。
だから彼の記憶に残っていたのでしょう。

でも、僕はそんな事は全く忘れていて、言われて何年ぶりかに思い出したのです。


そしてその瞬間、高校生時代の懐かしい思い出がたくさん甦ってきました。

十代特有の、エネルギーがあって、溌剌とした、でもバカで青くさい
あの頃を思い出したのです。

そんな思い出に浸っている間に、距離の開いていた彼との会話もはずみ、
互いに学生時代と何ら変わりなくコミュニケーションを取っている自分がいました。

その時に分かりました。

歳を重ねると、なぜ人は過去を振り返るのか。


それは、思い出が時間を越え、距離を埋めてくれるから。

だから、同窓会では必ず思い出話をするのでしょう。

共通の思い出は、すべてを超越するです。きっとそうです。


「楽しかったあの頃」はいくつになっても変わらず、その時のままの鮮やかさを持っていて、
自分を過去に連れて行ってくれるツールなのでしょう。

そしてそれは、何十年も経って互いの環境や生活が変わり、考え方や感じ方が変わっていても、
同じように語り合える共通のコミュニケーションツールなのではないでしょうか。


こんなニュースがあります。

愛知県師勝(しかつ)町では高齢者同士が思い出を語り合うことで、
認知症(痴呆(ちほう)症)の予防に取り組んでいるそうです。

認知症を患っても、昔のことは比較的よく覚えていて、
記憶をかき集めて生きてきた道のりをたどる。

脳を活性化させるとともに、過去の自分の姿から今の状況に向かう勇気をもらう事で
認知症を防ごうとしているのです。

国立長寿医療センターが調査を行った結果、その効果が数値でも裏付けられたそうです。

思い出は人を救う。

今を精一杯生きよう。

そして、いつか、何でもない今日の事をまた語り合おう。

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