シャネル──最強ブランドの秘密
[大倉 健志]
今回も読んだ本からのご紹介です。
ココ・シャネルと言えば、知らない人はいないと言っていいほど著名なファッションデザイナーです。
そんな彼女に関する『シャネル──最強ブランドの秘密』という本を最近読みました。
「最強ブランドの秘密」というタイトルに惹かれたのもあったのですが、それよりも帯に掲げられたコピーが印象的だったのです。
コピーされてこそ本物よ。
20世紀を変えた「皆殺しの天使」
ファッションの世界に生きたシャネルと「皆殺しの天使」という言葉──。
なんだか違和感がありますよね。
本書からいくつかご紹介したいと思います。
シャネルの「わたしがイミテーション・ジュエリーをつくったのは、ジュエリーを廃絶するためだった。」という言葉を引いて、著者が語っています。
「廃絶」という語は、核兵器廃絶というようなときに使う語である。この皆殺しの天使は、金目の宝石を「廃絶する」ために偽物をつくりだしたのだ。まさにそれは革命の名に値する。なぜなら、こうしてはじめて、「おしゃれ」と「金」が同義のものでなくなり、エレガンスが財力から独立したものとなったからだ。シャネルとともに、ようやくおしゃれはひとりひとりの「センスの良さ」の問題になったのである。
(山田登世子『シャネル──最強ブランドの秘密』朝日新書、2008年、62ページ)
シャネルが「皆殺し」にしたのは、「おしゃれ」とは宝石を身にまとうことという既成概念だったのです。
現代ではまったく当たり前のことですが、何を着るか、何を身につけるかよりも、どう着こなすかということが「おしゃれ」「センスの良さ」だと思われていなかったのが、シャネル以前の時代でした。
それを「皆殺し」にし、革命を起こしたのが、シャネルだったのです。
それだけではなく、シャネルが優れていたのは、大衆(市場)を見ていたことだと思います。
「コピーされてこそ本物」という言葉も紹介しましたが、既製服として量産されることを容認したことによって、特にアメリカ市場で受け入れられたことが、成功の大きな要因であったからです。
また、ファッションをビジネスとしたシャネルの優れていた点が以下のように語られています。
──技術は必ず最良のものから出発しなければならない。もしわたしが飛行機をつくったとしたら、とびきり素晴らしい飛行機から始めるだろう。その後で手をぬくのはいつでもできる。立派なものから出発して、次にシンプルなもの、実用的なもの、安いものに降りてゆく。素晴らしく良くできた一着のドレスから、既製服にたどりつく。逆は真ならず。モードは町に降りてきながら自然死をとげるというのはこういうわけなのだ。
──安物は高いものからしか出発できないし、安いファッションが存在するためには、まずハイ・ファッションが存在しなければならない。量は質を増大させたものではない。二つは本質からちがう。そのことに理解がいって、それが感じられ、容認されたらパリは安泰なのよ。
(山田登世子『シャネル──最強ブランドの秘密』朝日新書、2008年、104ページ)
これは、どんなビジネスにも言えるかと思います。
最良のものからどう簡素化して、量産できるようにするか。
常に本物と安物が存在し、本物の商品があるからこそ、安物の商品が売れるということです。
理想を作った上で、それをどうわかりやすくシンプルにしていくことができるか。
最高のものを理解できるのは一部の人であって、より多くの人に理解してもらうためには、シンプルに考えなければならない。
あまりまとまりがつきませんが、本書を読んで、シャネルの成し遂げた偉業によって、今日があることに、改めて感動を覚え、彼女のブランドに対する考え方は、今の我々のビジネスにおいても非常に参考になるところが多いと感じました。
シャネル自身の言葉によって多く語られており、シャネルを知る非常によい本ではないかと思います。
→ 『シャネル──最強ブランドの秘密』 (Amazon.co.jp)
