『滞在時間』と『ブランディング』
[金澤 貴司]
2007年も残りあと僅か。
今年一年を振り返り、やり残した事はないかと考えてみたところ、
ありました。
『滞在時間』と『ブランディング』の関係。
これを書かずして2007年は終われない。
今までに僕が書いてきた『スターバックスについて』や『Webサイトに新指標』の回、あるいは『滞在時間の持つ効果』の回でも触れつつも回答が出なかった内容について書きたいと思います。
周りのサービスを改めて見つめなおして考えてみると、
現代の販促手法はスーパーのチラシのような直接的な「売り込み」系の訴求から
スターバックスのような「付加価値」系の訴求に変わりつつあるようです。
消費し続けてきた現代人にとっては、刺激的なキャッチコピーも再構築されたテレビCMも
消費を促す要素にはなりにくくなっているのでしょう。
では、消費してもらう為にはどうすれば良いか?
ラジオ広告の出稿量の低下をはじめ、雑誌媒体の発行部数の低下など
マスマーケティングの持つ力は衰退する一方です。
そこで生まれたのが、バイラルマーケティング。
「個」に目を付けたのです。
「個」から広がる商品やサービス情報は伝播率を高く、浸透力も強い。
そして、情報は瞬く間に広がり「個」から「集団」へその規模を拡大します。
SNSがその象徴でしょう。
では、「個」にクチコミをさせる為にはどうすれば良いのか?
数を集める事が難しければ、質を高めようという発想で生まれたのが
『滞在時間を長くする』という視点ではないでしょうか。
近頃では、Webサイトの評価基準がページビューの数ではなく、
滞在時間に変わりつつある事は以前ブログでも書きました。
つまり、ただ見るのではなく、関心をもって見る。関心が高ければ高いほど長く滞在する。
長時間、滞在されるようなサイトは他人へのクチコミも生まれ易い、という訳です。
ブランディングにも同じ要素があり、「知名度」と「ブランディング」ではどちらが効果的か。
その答えは既に出ています。
前述した通り、「知ってもらう」事で売れる時代ではありません。
これからは、「好きになってもらう」必要があります。
この「好きになってもらう」という事が、「質を高める」
つまり『滞在時間を長くする』というマーケティング手法に昇華されているのでしょう。
ここに、興味深いデータがあります。
Nestleの主力商品である「キットカット」。
販促の一環で、「花とアリス」というWeb専用のショートフィルムを制作しました。
テレビCMで、その一部を流し、続きをWeb上で公開する事で導線を引きました。
時は2003年。
当時はまだブロードバンドの普及率も低い頃です。
しかし、それでも300万人が視聴し、その91%の人が友人に薦め、
86%の人が見終わった後にキットカットを購入したという結果があります。
つまり、ブランディングとは、そのブランドの為にいかに多くの時間を費やしてもらえるか
が非常に重要な要素であるという事です。
その商品やサービスとより多くの時間を過ごす事で、
そのブランドに対して「好き」という感情が生まれ、クチコミをつくるのです。
そう。ようやく答えが出ました。
『滞在時間』という指標は、ブランディングそのものだったのです。
こう言ってしまうと、実に当たり前のような事の気がしますが、
ここに辿り着くまでに多くの時間がかかってしまいました・・・。
でも、これで2007年を締め括れそうです。
合掌