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『巧告。』を読む。
[大倉 健志]

巧告。

 先日、Amazonで注文していた『巧告。 ~企画をヒットさせるために広告クリエイターたちが考えること~』を読みました。
 登場するのは、以前にもご紹介した『ひとつ上~』シリーズの編者でもある眞木準さんをはじめとした、一流の“クリエイター”たち。

 先人たちの言葉の一つひとつに重みがあり、実際にやってきた人でなければわからないこと、言えないことがたくさん書かれてありました。
 今回は、その中でももっとも感銘を受けた言葉をご紹介します。

 それは、『巧告』の冒頭を飾る株式会社コトバ主宰の山本高史さんの言です。
 山本高史さんは、電通でコピーライター、クリエイティブディレクターとして活躍され、トヨタ・カローラフィルダーなどの広告を手がけられた方です。

 誰も広告を見ようと思って見ているのではないという「悲しい前提」がある上で、いかにして広告に注目させるか、という手法について、「大きな声を出すこと」「相手の知らないことを言ってあげること」と2つをあげた上で、次のように述べられていました。

 そして、3つめ。これがぼくの話の結論の部分でもあるのですが、受け手が「言ってほしい」と思っていることを言ってあげるという方法。
 広告をつくるときに、ぼくらは当然、扱う商品やサービスについて、多くの知識を持っています。それを受け手に伝えるわけですが、ただ伝えるのではなく、「ああ、いいこと言うね」「そう、そうなんだよ」「そういうことが聞きたかったんだ」と思えるように伝える。つまり、まず受け手を「相対的に気がついていない人」と考えて、相手が望んでいることを表現してあげるわけです。
(『巧告。』(インプレスジャパン、2007年、16ページより)

 「受け手が『言ってほしい』と思っていることを言」う。つまり、受け手の立場に立って、その人の目線で語ってあげるということです。
 これはごく簡単なことのようでいて、ものすごく難しいことだと思います。
 コピーや企画を考える際に、どうしても「伝える」ということに終始してしまいがちですが、もっとも大切なのは、受け手がどうであるかなのですね。

 「共感」を得ることによる広告効果は、非常に高いものであるといえます。
 山本高史さんの最後の締めくくりとして、コミュニケーションは相手の言ってほしいことを言ってあげることだとした上で、以下のように述べられています。

 困っている友だちは、まずその気持ちをわかってほしいと思っているでしょう。そして、その気持ちをわかってあげたうえで、「オレだったらそういうときにこうするけど」「こうしてみたらどうかな」と提案してはじめて、いい関係を築くことができるのではないでしょうか。
 広告にも、そしてもしかしたらそれ以外のさまざまな仕事にも、こうした人づきあいと共通する部分があるとぼくは思います。
 もし消費者といい関係をつくりたいなら、やはり人の話をちゃんと聞いてあげたり、まわりの人を喜ばせてあげたりと、ふだんから人の気持ちを考えて、円滑な関係を築くように心がけるべきでしょう。
(『巧告。』インプレスジャパン、2007年、56ページより)

 広告は一方通行ではない、コミュニケーションなんだと改めて思い知らされました。
 そういう広告こそ「巧告」なのですね。

 広告だけではなく、何かを表現しようとするとき、そこにちゃんと「受け手」がいるかどうか。自慢だけの一人よがりになっていないか。
 優秀なコピーライターは、誰もが言葉にできそうでできないことを、平易な“コトバ”で伝えることができる、受け手と同じ「ふつう」の感覚を持った人なんだということ。

 こういったことを、改めて教えられた一書でした。
 山本高史さんの話は、広告に関わる人すべてに読んでほしいと思える内容です。
 ぜひ手にとってみてください。

 もしも、今インターンシップに来ている子たちが読んでくれているのなら、彼ら彼女らにこそ読んでほしい一書ですね。

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