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Helvetica 【フォント特集】
[大倉 健志]

 前回のGoudy Old Styleに続いて、今回は「Helvetica」というフォントを取り上げます。
 Helvetica(ヘルベチカ)は、デザインを仕事にしている人であれば、知らない人はいないというほど有名な書体です。
 Helveticaという名前を知らなくても、至る所でこの書体を目にしているはずです。

Helvetica

 Helveticaは、1957年にマックス・ミーディンガー(Max Miedinger)が、スイスのハース社(Haas)のためにデザインした書体です。Helveticaの名前は、スイス連邦のラテン名である「Confoederatio Helvetica」に由来します。
 スイスには、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つの公用語が存在しており、いずれの言語においても違和感なく、バランスよく配置することができるよう、細心の注意を払ってデザインされたようです。
 そのため、Helveticaが誕生してから50周年を迎えた今日であっても、もっとも優れた書体として認知されているのです。

At this moment in boardrooms across the globe, captains of industry are leafing through sheet after sheet of typefaces. There are hundreds of choices, but many of these movers and shakers don't take a lot of leafing before plumping for Helvetica.
(「BBC NEWS | Magazine | Helvetica at 50」より)

Helvetica

 Helveticaが使用された企業ロゴは、さまざまなところで見かけることができます。
 日本を代表する家電メーカーである、PanasonicNationalTOYOTAを始め、BMWAmerican Airlines3MLufthansaJeepMicrosoftなど、さまざまな企業がHelveticaを選択しています。
 今回のエントリーを書く中で見つけた、Panasonic、Nationalを抱える松下電器のエピソードには、なるほどと思わされました。

Helveticaで書かれたロゴタイプを浸透させれば、Helveticaで書かれた文字を見るたびにNational、Panasonicのロゴタイプを想起するであろうという戦略からなのだそうです。
Helveticaが最もポピュラーなフォントであることを逆手にとった素晴らしいアイデアですね。
(「CALM GRAPHICS:Helvetica」より)

Helvetica, Helvetica Neue, Arial

 Helveticaは、残念ながら大多数が使用しているWindowsには付属していません(Macintoshには付属しています)。
 Helveticaは、そのすばらしさから、さまざまは派生書体、模倣書体が存在しており、Windowsにも付属している「Arial」(エリアル)はその一つです。
 しかし、そのArialは、Helveticaを模倣したにもかかわらず、Windowsに搭載されたことでデスクトップに氾濫した書体として、デザイナーからは忌み嫌われた存在です。
 「Helvetica vs. Arial」といったゲームまでつくられています。また、区別がつかないデザイナーのために、「arial or helvetica?」というHelveticaとArialの判別テストまであります。

Helvetica, Arial

Monotype's Arial, designed in 1982, while different from Helvetica in most details, has identical character widths, and is indistinguishable by most non-specialists. The capital letters C, G, and R, as well as the lowercase letters a, e, r, and t, are useful for quickly distinguishing Arial and Helvetica. Differences include:
  • Helvetica's strokes are typically cut either horizontally or vertically. This is especially visible in the t, r, and C. Arial employs slanted stroke cuts.
  • Helvetica's G has a well-defined spur; Arial does not.
  • The tails of the R glyphs and the a glyphs are different.
(「Helvetica - Wikipedia, the free encyclopedia」より)

 個人的にも、非常に好きな書体の一つであるHelvetica。
 普段使用しているペンケースにも、黒い布地に赤い「Helvetica」の文字がHelveticaでプリントされています。見たときに、わかる人だけがわかる、ペンケースですね。


 さて、伝えたいメッセージを、どの書体を使用して伝えるのか、ということは非常に重要なことだと思っています。
 どんな書体かは、気にもしないということであれば、そのメッセージも非常に軽いものになってしまっているということになります。
 また、書体ではありませんが、企業ロゴを軽々しく扱い、その見え方に気をつかわないということは、企業のシンボルを軽々しく扱っているということであり、いい加減な会社と見ても間違いではないと言えます。

 優れた企業ほど、使用する書体やロゴにこだわり、気をつかい、細心の注意を払ってそれを取り扱っています。
 あなたの会社はどちらでしょうか。

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