リンデンドルは最強の電子マネーとなるか?
[臼井 友章]
ネットマイルとジップサービスは6月12日、ポイントサービス「ネットマイル」のポイントを、仮想世界「Second Life」上で流通する仮想通貨「リンデンドル」に交換するサービスを7月25日から開始すると発表しました。
これにより、米ドルカード決裁などでしか手に入れられなかったリンデンドルを、日本のサービスであるネットマイルを利用しても獲得できるようになります。
現在のところ、リンデンドル→ネットマイルの交換ができないため、貯めたリンデンドルをネットマイルを経由して、他社のマイレージや現金に交換することはできませんが、日本と“リンデンドル経済圏”の交流がこれまで以上に活発になることは確実でしょう。
「Second Life」は、これまでのオンラインゲームが禁止してきた(とはいうものの、アンダーグラウンドで行われている)RMT(リアルマネートレーディング:ゲーム内通貨を実際の通貨に交換すること)を認めていることに特色があります。プレイヤーは、「Second Life」を運営する Linden Lab 社によって運営される取引所を通じて、リンデンドルと米ドルを交換することができます。実際の為替市場と同様の変動相場制がとられており、現在のレートは、1米ドル=266リンデンドルです(→マーケット情報)。
みずほコーポレート銀行の調査によると、“リンデンドル経済圏”の規模は、2007年末に 11.4億米ドル、2008年末には105.9億米ドルに達すると予測されています。これを各国の GDP と比較すると、2007年末で世界178位、2008年末で世界100位の経済圏になることを意味します。
現実世界の通貨と連動性を持っている点で、リンデンドルは一種の電子マネーといえますが、世界各国の通貨との交換が可能になれば、リンデンドルを通じて多国間の決済を行うことも可能となります。その意味で、リンデンドルがもつ潜在的な力はかなりのものといえます。
しかし一方で、「Second Life」が一私企業によって運営されていることを考えると、この経済圏の危うさも浮かび上がってきます。現在流通しているリンデンドルに対応する米ドルを Linden Lab 社が保有しているわけではないでしょうから、ひとたび取り付け騒ぎが起きると、その先の結末は恐ろしいものになります。何しろ、電子データにすぎないリンデンドルですから、「紙切れ」にもならないわけです。
このような危うさをはらみながら、「Second Life」は、マーケティングの場として活用されつつあります。「Second Life」発のヒット商品が生まれるのか、“リンデンドル経済圏”の行方はどうなるのか、注意深く見守って生きたいと思います。
上でも紹介したみずほコーポレート銀行のレポートは、非常に興味深い内容を含んでいますので、関心のある方はぜひ読まれることをおすすめします。