不二家事件
[臼井 友章]
不二家が消費期限切れの牛乳を使ってシュークリームを製造していた問題は、各種メディアにかなり大きく取り上げられています。それは、明治43年創業の老舗の洋菓子店が起こした不祥事だからというだけでなく、過去の不祥事を連想させる要素が多いからではないかと思います。
まず、洋菓子の販売休止、株価の急落といった展開は、店頭から商品が撤去され、後に市乳事業からの撤退を余儀なくされた雪印乳業を連想させます。
また、創業者一族が経営を担ってきたという点でパロマ事件を連想させます。
さらに、問題の公表のタイミングを誤ったことにより、事態を悪化させてしまったという点で、ダスキン事件を連想させます。
今回の問題が難しいのは、山口先生も指摘されているように、食品衛生法違反に至らない(この点については、埼玉県が工場に立ち入り検査に入っており、はっきりしないところではありますが)社内規程違反の場合にも、問題公表の義務があるかという点だと思います。
「早く、隠さず」公表することが、企業へのダメージを最小限に抑えることは、過去の経験からも明らかですが、公表する必要がない事項まで公表することもまたリスクであることは否定できません。したがって、公表基準を作り、基準に従って行動することがリスク管理手法ということになるでしょう。その基準が法に違反せず、かつ、合理性があれば、基準に従って公表しないことも経営判断として認められうると思われます(逆に基準に従わずに公表することがあれば、その判断が内部統制システムに反していないかを問われることになるでしょう)。
さらに、今回の問題がどのようにしてメディアが知るに至ったのか、という点については、内部告発の問題も絡んできますし、非常に論点満載ですね。
最後に、Web制作にも片足を突っ込んでいる者としては、不二家のサイトのどこにアクセスしてもお詫び文しか出てこないのはいかがなものかと。不祥事が発生したときにこそ、会社概要やIR情報を読みたいと考える人(私もそうでした)は確実にいるはずです。そういったニーズに対応できないのは、やはり不十分だと思うわけです。おそらくは、.htaccess ファイルで、すべてのファイルへのアクセスをお詫び文ページにリダイレクトするように設定しているのでしょうが、時間がない中であっても、工夫をするのが制作者ではないでしょうか。こちらについても、今後に期待したいと思います。
コメント
>会社概要やIR情報を読みたいと考える人・・・
不二家は上場会社(有価証券報告書)ですから、会社概要や基本的なIR情報は、EDINETや東証TDNETで見れば基本的なことは判ります。公式HPの小細工などは「姿勢(ポーズ)」でしかない訳です。逆にいうと、「いかがなものか」というほどのものでもありません。
投稿者: pukeko | 2007年01月14日 00時25分
> pukekoさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
確かに、上場会社の場合には、企業Webサイトを見ずとも基本的な情報は手に入ります。しかし、そういった情報源にたどりつき、情報を手に入れるには、一定のインターネットリテラシーが必要であることも事実だと思います。
「いただけない」という表現は過剰表現だったかもしれませんが、企業情報や店舗情報を残しても害はないし、むしろ有益である(有益的記載事項?)と思います。特に店舗情報については、洋菓子の販売中止によって、営業自体を休止しているところもあるようですので、掲載の意義も高いのではないでしょうか。
投稿者: 臼井 友章 | 2007年01月15日 12時31分